日: 2020年5月13日

「越境者」

 

 

ピエトロ・ジェルミ監督の初期の作品。演技陣には主役を除いて素人が起用されている。

シシリー島の鉱山が閉鎖され、ブローカーにそそのかされて、抗夫達がフランスへ越境していく物語である。途中、旅費を預かったブローカーに持ち逃げされ途方に暮れる。農園の収穫の人夫に雇われるが、それはスト破りのための雇用で、農民が騒ぎ出し一行は農園から放り出される。苦難に耐えかねて何人かは去っていき、会計係の老人が死んだりしたが、一行は吹雪の中を、やっと国境にたどり着く。フランスの国境警備兵は一行を尋問するが、彼らがシシリーからの避難民だと知ると咎めることなく去っていく。

各地の映画祭で多くの賞を獲得した。イタリアリアルズムの傑作。黒と白の画面、登場人物の沈黙の表情の多用、リーダーを演じるラフ・バローネの史劇にふさわしい立派な容貌とチラリと見えるローマの建物が印象的。わたし達の世代には、歌声喫茶などで歌われていた「大砲としゃれこうべ」の朗唱が懐かしい。