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松本清張 「或る小倉日記伝」

mori    2022年11月6日 2022年11月6日    松本清張 「或る小倉日記伝」 へのコメントはまだありません

10月30日(日)午後3時から5時、堀川町のシャモニーモンブランで「魁」の例会を開催しました。

読書会は松本清張の「或る小倉日記伝」です。時代は戦中、場所は小倉、主人公の田上耕作は、神経性の障害で、片足が麻痺しており、口を開いたまま言葉を上手く喋れない。母の内職とわずかの家賃収入でつつましく暮らしていた。そんな耕作が森鴎外の小倉に赴任していた時の日記、小倉日記(当時紛失していた)を探し求めるが、志を得ないまま亡くなる物語である。

耕作は知的障害者ではなく、学校では優秀な成績を収める。又、周囲には善意の多くの知人がいた。それにはホッとさせられる。又、美しい耕作の母は不憫な息子のために生きていくことを決意し、様々な再婚話にも耳を貸さない。

耕作の死後、小倉日記は一族によって発見される。「耕作にとってそれが幸か不幸か分からない」の最後の言葉が重く響く。涙なしでは読めない作品である。

 

例会の開催    

「魁」~例会の開催

mori    2022年10月29日 2022年11月6日    「魁」~例会の開催 へのコメントはまだありません

同人誌の「魁」の例会を開催しています。毎月最終日曜日の午後3時から5時の間です。すでに4回開催しています。内容は、読書会と合評会です。読書会は、今迄に村上春樹「風の歌を聴け」、石原慎太郎「太陽の季節」、大江健三郎「飼育」、カミュ「ペスト」です。時間の関係で短編、文庫本に限定しています。合評会は皆の提出した原稿の感想を述べあっています。明日その5回目を開催します。場所は広島市中区堀川町の喫茶店「シャモニーモンブラン」です。6人位が出席します。興味のある方はどうぞ。

ウォーキング, 今時誰も観ない映画, 今時誰も読まない本, 例会の開催, 旅行, 映画を観て小説を読む    

鼬

mori    2020年7月4日 2020年7月4日    鼬 へのコメントはまだありません

この戯曲は、同人誌の同人に頂いた本の中に掲載されていました。作者は真船豊という方です。昭和十年十二月十四日に発行されいますから、八十五年前の戯曲ということになります。最初は東北弁で、女が皆男勝りな物言いなのでなかなかとっつきにくかった。しかし、中途からグイグイ引き込まれました。これは傑作だと思います。

今時誰も読まない本    

父ありき

mori    2020年6月28日 2020年6月28日    父ありき へのコメントはまだありません

 

 

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        小津安二郎の戦時中(1942年)の映画です。父の息子に対する愛情を描いた作品です。あの時代の雰囲気は実際には知りませんが、小説や映画を見る限り、すべて戦時色一色で殺伐たるものがあったと想像されます。しかし、この作品の繊細で清冽な画面は驚くほどです。感性を失うことなかった小津は素晴しい

        中学教師の父は、箱根への修学旅行の引率で生徒の乗ったボートが転覆、死者を出してしまいます。その責任を取って中学を離職し信州へ帰ります。役場で働きながら息子を育てます。息子が中学、大学と進学するとその学費を稼ぐため東京へ出て工場で働きます。息子は大学を卒業すると、父と同じ教師になります。「教師を辞めたい」、とこぼす息子に「今の仕事を天職と思って全うするように」といさめます。やがて息子は婚約者をみつけます。これでやっと肩の荷が下りたと思った時、父は体調を崩し、緊急入院し、息を引き取ります。

 

今時誰も観ない映画    

比治山散策

mori    2020年6月21日 2020年6月23日    比治山散策 へのコメントはまだありません

 

 

比治山散策

まだコロナが収まらないので、我家近くの比治山公園を散策しました。山とは言いながら標高は低く、それこそ散策気分で歩けます。比治山は桜の花見等で何回も行った事があるのですが、改めて散策するのは初めてです。

入り口には真言宗の多聞院があります。このお寺は原爆投下後県庁だったお寺です。左に曲がると御便殿広場にはまんが図書館があります。元に戻り裏手を通ってしばらく歩くと旧陸軍墓地、かまぼこ型のABCCの建物があります。更に歩くと現代美術館があります。美術館の前はわが事務所が花見に行くムーア広場です。

写真は旧陸軍墓地にあるフランス人の墓碑です。ここらは広島の南の端、宇品港があります。ここからは多くの出征の兵士達が戦争へ旅立ちました。

ウォーキング    

元宇品散策

mori    2020年6月15日 2020年6月19日    元宇品散策 へのコメントはまだありません

コロナ感染で、出かけることもままなりません。天気は良いので元宇品を散策しました。おそらくあまり人がいないだろうと思ったからです。しかし、案に相違して多くの人が散策していました。皆考えることは一緒だなと思いました。

この元宇品は江戸時代までは島でした。明治時代、広島県の県令千田貞暁宇品埋め立てにより陸続きになりました。

入り口は大きなマンションの裏側で分かりにくい。陽光きらめく下、穏やかな波の打ち寄せる海辺では、釣りをする人、子供を波打ち際で遊ばせる人、チェアを持ち出して日光浴をする人と海のオゾンを吸い込んでいます。

小Ⅰ時間ばかり、島をぐるりと歩くとプリンホテルが聳えるあたりが出口です。少し汗をかきました。気分転換にはちょうど手頃な散策コースです。

ウォーキング    

「或る小倉日記伝」

mori    2020年6月7日 2020年6月19日    「或る小倉日記伝」 へのコメントはまだありません
北九州市「森鴎外旧居」は小さな文学館!森鴎外の素顔に迫る

松本清張の芥川受賞作である。森鴎外が小倉で過ごした三年間の日記である『小倉日記伝』(完全な形では残っていなかった)を、障害者(神経性の障害で片足が麻痺しており、しかも言葉をうまく喋れない)である田上幸作が補完作業をする姿が書いてある。時代は戦時下、母の裁縫と家賃収入で細々と暮らし、しかも障害を抱えた身での生活は苦しかった。しかし、何度も挫折感を味わいながら、風呂敷一杯の資料を集めた。戦後、食糧難と麻痺症状の進行でなかで甲作は息を引き取る。その翌年、鴎外の一族によって『小倉日記伝』の原本が発見される。つまり甲作の努力は水泡と化したのである。何とも救いのない作品だが、甲作の結果的には埋もれてしまったがひたむきな生き方が胸を打つ。松本清張の文体は乾いて切れが良くスピード感があるが、この作品は少しウェットで、少しスピードが落としてある。

 

今時誰も読まない本    

「残菊」

mori    2020年5月31日 2020年6月28日    「残菊」 へのコメントはまだありません

原作は林芙美子の短編です。

晩菊の画像

四人の芸者上がりの女(杉村春子、沢村貞子、細川ちか子(こうして並ぶと一番美しい)、望月優子)の日常を描いています。主人公は杉村春子で金貸をしています。色恋より金が第一の女です。元同僚にも貸して容赦なく取り立ててます。

細川ちか子の息子(小泉博)、望月優子の娘(有馬稲子、若い!!)はわが子の幸せを願う母の意向を無視して、意に染まぬ女、男と結ばれます。

杉村春子は昔燃えるような恋をした上原謙から一度会いたいと手紙が来ると、ワクワクして念入りな化粧をして男を待ちます。しかし、男の目的が金だと分かると、たちまち豹変して追い返してしまいます。この場面が一番凄い

新婚旅行に出る息子を見送った細川ちか子と望月優子は、思うようにならない子を嘆きながらも、それでも子供を育てた喜びに生きがいを覚える。

人生のどんずまりを生きる女達の生態を描いています。完成度は抜群です。杉村春子の早口とせかせか歩きがいつまでも頭にこびりついて離れない映画です。

 

 

今時誰も観ない映画    

「蒼氓」

mori    2020年5月17日 2020年6月7日    「蒼氓」 へのコメントはまだありません

蒼氓

「ブラジル 移民」の画像検索結果石川達三の第1回芥川賞の受賞作品である。このタイトルは諸々の民という意味らしい。1930年のブラジル移民の、主にブラジルへ着くまでの話である。

船には千人近い移民が乗っている。作者は実際に移民船に乗ってブラジルに渡航した体験をしている。作者は移民するような貧しい家庭に育ったわけでもないのに、どういう経緯でそういう体験をしたのか分からない。しかし、その体験が無ければこのリアル感は出せなかったに違いない。

群集小説である。皆、日本の貧しさから逃れるために移住しようとしている。社会性を持った作品であるのに、作者は社会主義には興味を持っていない。骨太で突き放したような文体である。皆、よく酒を飲むし、歌を歌うし、踊る。移民たちは貧しいけれども絶望はしていない。人間万歳程では無いにしても、人間で満更捨てたものではないなと感じさせる。

今時誰も読まない本    

「越境者」

mori    2020年5月13日 2020年6月28日    「越境者」 へのコメントはまだありません

 

 

ピエトロ・ジェルミ監督の初期の作品。演技陣には主役を除いて素人が起用されている。

シシリー島の鉱山が閉鎖され、ブローカーにそそのかされて、抗夫達がフランスへ越境していく物語である。途中、旅費を預かったブローカーに持ち逃げされ途方に暮れる。農園の収穫の人夫に雇われるが、それはスト破りのための雇用で、農民が騒ぎ出し一行は農園から放り出される。苦難に耐えかねて何人かは去っていき、会計係の老人が死んだりしたが、一行は吹雪の中を、やっと国境にたどり着く。フランスの国境警備兵は一行を尋問するが、彼らがシシリーからの避難民だと知ると咎めることなく去っていく。

各地の映画祭で多くの賞を獲得した。イタリアリアルズムの傑作。黒と白の画面、登場人物の沈黙の表情の多用、リーダーを演じるラフ・バローネの史劇にふさわしい立派な容貌とチラリと見えるローマの建物が印象的。わたし達の世代には、歌声喫茶などで歌われていた「大砲としゃれこうべ」の朗唱が懐かしい。

 

 

 

今時誰も観ない映画    

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